2010年の両社の貸借対照表と損益計算書を図示すると以下のようになります。
パナソニックの総資本はシャープの2.5倍ほどあることが分かります。
◆収益性
収益性は両社とも、2006年より値を下げています。シャープの売上総利益率はパナソニックよりも低い値ですが、他の指標はほとんど差がありません。
90年代初頭の当期純利益率の製造業平均は2.27ですから両社ともこれ以下です(2010年)。同様に総資本利益率は4.17ですから、両者ともこれより大幅に低い値です(2010年)。
◆効率性
総資本回転率はパナソニックの方が上ですが、両社とも1を上回っています。売上原価もパナソニックの方が低く抑えられています。販売費及び一般管理費についてはシャープの方が効率がよさそうです。パフォーマンスは2006年からさほど変わっていません。
パナソニックのパフォーマンスは2006年からほとんど変わっていませんが、シャープの売掛債権回収期間はかなり短くなっています。棚卸資産回収期間はやや伸びてしまいました。
◆安全性
流動比率は高いですが、当座比率は100%に達していません。長期適合率はシャープが高めです。
自己資本比率は90年代初頭の製造業平均並みです。
◆キャッシュ・フロー
まず、パナソニックです。
2006年 | 2010年 | |
営業活動に関するキャッシュ・フロー | 532557 | 469195 |
投資活動に関するキャッシュ・フロー | -567808 | -202945 |
財務活動に関するキャッシュ・フロー | -427703 | -354627 |
2006年と2010年の基本的な動きは変わっていません。積極的に投資を行い、利益を出し、借り入れ返済を着々と進めているのであろう様子がうかがえます。2010年の投資は2006年より半減しています。営業活動に関するキャッシュ・フローが低くなったのは、棚卸資産が増加した影響が大きいです。財務活動ですが、長期債務で借り入れを行い、「非支配持分の取得等」に充てています。
次に、シャープです。
2006年 | 2010年 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 314,352 | 167,443 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △328,789 | △244,613 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 41,170 | △6,254 |
2006年と2010年で、キャッシュフローが変化しています。2006年には資金調達が多く、投資を積極的に行っています。 2010年には営業活動によるキャッシュ・フローが半減していますが、財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっております。これは長期借入を大きく減らしたためです。
営業活動のキャッシュ・フローが減少した原因は売上債権の増加による影響が大きいです。
◆まとめ
ここまでをやや直感的にまとめると以下の表のようになります。
収益性 | 効率性 | 安全性 | 備考 | |
パナソニック | × | ○ | ○ | ・販売費一般管理費が高め。 ・棚卸資産が増加。 |
シャープ | × | △ | ○ | ・棚卸資産回収期間が上昇。 ・売上原価が高め。 ・長期適合率が高め。 ・売上債権が増加。 ・長期借入が大幅減少。 |