持続可能な成長率と実際の成長率は以下の表のようにあらわされます。
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | |
売上高当期純利益率 | 1.8% | 0.8% | 1.0% | 1.3% |
内部留保率 | 73.0% | 43.0% | 60.1% | 64.2% |
総資産回転率 | 131.0% | 138.0% | 144.0% | 160.4% |
財務レバレッジ(対期首) | 7.0 | 6.6 | 6.7 | 5.9 |
持続可能な成長率 | 12.4% | 3.1% | 6.1% | 7.8% |
売上高増加率 | 38.1% | 9.8% | 7.7% | 11.0% |
ゼンショーは持続可能な成長率に比べて売上高増加率のほうが高く、成長過剰にあります。
2007年は大きな成長過剰状態でしたが、近年の乖離幅は数%です。
持続可能な成長率を引き上げるには
①売上高当期純利益率を引き上げる
②内部留保率を引き上げる
③総資産回転率を引き上げる
④財務レバレッジを引き上げる
です。
2007年から2010年のこれらの値の変化率は以下の通りです。
売上高当期純利益率 | -27.8% |
内部留保率 | -12.1% |
総資産回転率 | 22.1% |
財務レバレッジ(対期首) | -15.7% |
持続可能な成長率を低くさせているもっとも大きな影響は売上高当期純利益率が低下したことです。
売上高純利益率と売上原価率の相関係数は-0.89とかなり高い値でしたので、売上高純利益率を引き下げている主因は売上原価だと考えられます。
売上原価が高くなっている原因の1つに、穀物価格の上昇があります。
IMF Primary Commodity Prices
http://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspx
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | |
売上高当期純利益率 | 1.8% | 0.8% | 1.0% | 1.3% |
売上原価率 | 31.7% | 35.1% | 33.3% | 34.1% |
2008年に価格が上昇したのち、2009年には2007年の水準近くに戻っています。価格が上昇した2008年の売上原価率は35.1%と高い値になっています。しかし、穀物価格が2007年の水準近くに戻っているにもかかわらず、売上原価は33.3%、34.1%と2007年よりも高い水準となっており、穀物価格の上昇だけでは売上原価の高さを説明できないことがわかります。
となると、販売に伴うマージンが著しく低いために売上原価が高くでているのかもしれません。
これを解消して、持続可能な成長率を上昇させるのは容易ではないでしょうから、持続可能な成長率を上げるためには、内部留保率や財務レバレッジの引き上げなど財務方針の変更が必要であろうと考えられます。